秋の東京セミナー2011
Updated Nov 14, 2011 2:50 PM
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2011年東京セミナー開催
から 113 日経過

お知らせ

【2011/10/21】
蒸しタオル体験談を公開しました

【2011/10/17】
English Siteを更新しました
staff's stories
 
【2011/10/14】
コラムを更新しました
「私と整体」
33期生森美紀

【2011/10/01】
コラムを更新しました
「『何となく』は宝物」
33期生田中道代

【2011/09/23】
コラムを更新しました
「術後の経過」
32期生内山晃一

【2011/09/16】
コラムを更新しました
「体って変わるんだ。」
30期生矢代さやか

【2011/09/09】
コラムを更新しました
「心と体」
33期生畔上泉

【2011/08/30】
English Siteを開設しました

【2011/08/25】
コラムを更新しました
「私にとっての井本整体」
33期生一井葉子

【2011/08/20】
コラムを更新しました
「道場での宝探し」
32期生洞内和喜

【2011/08/16】
コラムを更新しました
「出会い」
18期生和穎江平

【2011/08/10】
コラムを更新しました
「私の食べ過ぎ体験」
33期生岩渕陽一

【2011/08/05】
コラムを更新しました
「体を知る」
33期生関口大二郎

【2011/07/30】
コラムを更新しました
「井本整体と息子に教わった体の回復力」
33期生五十嵐雅子

【2011/07/25】
コラムを更新しました
「安心なこと」
32期生中馬義朗
「肩こりが治った!」
33期生川村知子

【2011/07/14】

2011年秋の東京セミナーホームページを公開しました
詳細については順次更新していきます。

蒸しタオル体験談 File.01

 (30代男性)



 今まで生きてきて特に深い意味を持っていなかった人やモノが、ある日突然圧倒的な重要性をもつようになることがある。僕にとっては蒸しタオルがそれだ。


 3年ほど前、長年患っているアトピーの状態が悪化したことがあった。それまで使っていたステロイドをやめた反動のためで、覚悟はしていたものの想像以上にひどい状態だった。ステロイドは使わないことにしたものの、特に即効性のあるものがなく、痒くなったらなすすべもなくそれが過ぎ去るのを待っていた。顔をはじめとして頸、手、脚が痒くて公衆の面前でも爪を立てて掻かずにはいられなかった。皮膚はいつも赤く腫れ上がり、所々出血していた。あまりに痒くて掻きながら道をふらふら歩いていたら車にひかれそうになったことも何度もある。妻が隣で支えるようにして歩いてくれていなかったら10回くらいは車にひかれて入院していたと思う。あるいは電車のホームに落ちていたかもしれない。そんな状態の毎日だった。その頃、井本整体認定指導者の島村健作先生の操法室に通いはじめた。すると、島村先生に、蒸しタオルはどう?と勧められた。


 でも、今思えばつくづく残念なことだが、わりと長い間(数ヶ月)それをムシして相変わらず痒みと格闘する毎日を送っていた。長い年月のアトピーとの格闘のなかで、いつのまにか「痒いところは冷やすべし」という固定観念が僕のなかにできあがっていたのだ。痒くて皮膚が腫れ上がっているところは冷やしてあげれば、ほんの少し痒みが和らぐという経験から来る知識があったのだ。そんなわけで、冷やすどころか熱い蒸しタオルを患部に当てるなど、もってのほかだという気がしていた(痒みがさらにひどくなるんじゃないか?)。とはいえ、濡れたタオルで冷やしても痒みがひどいときは、文字通り焼け石に水の状態だった。


 ある夜、もうこれ以上我慢できん!という状態に達した。痒みがここまでひどくなると、自分が何をやっているのかわからなくなる。痒みのために連日眠れないからその疲れやイライラ感もあって、すてばちな気持ちになってしまう。理性が飛んで、酔っ払っているようになる。意味もなく壁に頭を強くぶつけてみたり、冷たい水を張った風呂桶に頭を突っ込んだりした(妻には相当ショッキングな光景だったと思う)。そんなことをしたあとで、島村先生から勧められた蒸しタオルのことがふと頭をよぎった。駄目で元々という気持ちで給湯器から熱湯を出して、タオルを浸して顔に当ててみた。


 そのときの驚きはまだはっきりと覚えている。あれだけひどかった痒みがすっとひいたのだ。3度、4度と湯を替えて蒸しタオルを続けていく内に、だんだんと冷静になっていくのを自覚していた。冷蔵庫が低くうなる音とか、隣の部屋で皿をテーブルに出しているような音、遠くから聞こえる車が通行する音などが聞こえ始めた。痒いということで頭がいっぱいで、周囲の音など聞く余裕がなかったのだ。妻もすごく喜んだ、というよりほっとした様子だった。


 蒸しタオルは、アトピーが一番ひどかった顔だけでなく、頸や手足にも抜群の効果を見せた。痒みが全くなくなるわけではないけれど、少なくともまともに考えられる程度まで痒みが引くようだった。その晩から、毎日蒸しタオルが手放せなくなった。当時は、一日に何度か突発的に強烈な痒みが始まり(僕らはそれを「発作」と呼んでいた)、そのたびに蒸しタオルをした。痒みに圧倒されて僕が熱湯を作る余裕がないときは、妻がせっせとお湯を沸かし、蒸しタオルを患部や盆の窪(後頭部と頸の境目あたり)にあててくれた。


 こんな素晴らしい蒸しタオルをせっかく島村先生が勧めてくれていたのに、何ヶ月もムシしていて後ろめたく思うと同時に、どうしてあれだけしつこくて激しい痒みがおさまったのだろうかと不思議に思った。


 ひとつには、後頭部を温めることで副交感神経が優位になり、体中を掻いているときの興奮状態が抑えられるということがあるかもしれない。もうひとつは、蒸しタオルによる温→冷→温の温度ポンプ効果で患部の血流がよくなるのかもしれないと考えた。もともと体が掻こうとするのは、何らかの理由で血流を良くしようとする無意識の行動だと考えれば筋が通る気がする。もしそれが正しいなら、痒いところを冷やそうとするのはかえって状態を悪化させることに繋がるのかもしれない。痒いからあるいは腫れ上がっているから冷やして抑えるという考え方から、掻こうとする体の欲求を蒸しタオルの力を借りて血流を良くし満たしてあげるという考え方への発想の転換だ。本当のところはわからないけれど、なんとなくそういうことだろうと僕は信じている。


 今ではアトピーの状態もだいぶ良くなり、元気に仕事をできるまでに快復した。ここまで来ることができたのは、妻、島村先生をはじめとして気にかけて下さった多くの人たちが応援してくれたからだ。ひとりでは途中で挫折していたに違いない。本当にありがとうございます。それから、操法や体操の効果も大きいと思うが、ここではテーマから外れるので省く。


 それにしても蒸しタオルがもたらす気持ちのよさはどうだろう。体の一部を温めているだけなのに、全身を温泉に浸かっているようななんともいえない、いい気持ちになる。ときどき、あまりの気持ちのよさによだれがだらりと湯に落ちて、はっとすることもある。一日の疲れやイライラ感が、葉っぱに露がそっと降りるように、ゆっくりと静かに鎮まる気がする。こんな素晴らしいものは、世の中にもっと広めるべきだと思う。街角や駅のホーム、コンビニなどで気軽に誰でも蒸しタオルができるようになったら素晴らしいのではないだろうか。成績が思わしくなくてイライラしている外回りの営業マンや、なんとなく世の中に反抗してみたい年頃のオニイチャンたち、急いでいるのに乗っている電車に人身事故が発生して舌打ちしているビジネスマンなどなど。最寄りの蒸しタオル所で一休みすれば心機一転、リフレッシュできること請け合いである。妄想をさらにたくましくして、外交の席で蒸しタオルをしてから話し合いをすれば、ことがスムーズに運ぶのではないか。


 話がとりとめもなくなりましたが、蒸しタオルはその地味な名前からは想像もつかないほど素晴らしい力を秘めているのだと思っております。