29期生 熊本弘恵
私が井本整体の門をくぐったのは、2008年10月、夫が亡くなり1年10ヶ月目でした。 夫は風邪をひき2日ばかり寝込み「明日は仕事に行くよ」と云いながらの急死でした。
突然の出来事に腰を抜かし、看病できなかった、「ありがとう」のお礼の言葉も伝えられなかった等、悔やまれる事が山ほどあり、夫の死を受け入れることが出来ないでいました。 ストレスで血圧が200に上がり通院。歯が痛むので歯医者に行くと「歯ぎしりしていませんか。歯が折れていますよ」とのこと。悲しみを耐えるのに歯を食い縛って寝ているらしく、歯が折れていたのです。
長女、次男は独立して孫も生まれ、最後となった長男も結婚する人と出会い家を出て行き、二人でのんびりと老後を暮らそうと話し合ったわずか2ヶ月後に夫は亡くなり一人暮らしとなりました。
娘達の所へ行きおじいちゃんの思い出話をしていると、お互いに泣き出してしまい、孫が「おばあちゃんをいじめたらダメ」と言い出すので、一人でじーっと耐えていたことが体を痛めたのでしょう。
遺骨さえ、すぐ墓地に納める事ができずに家に置き、共に暮らしておりましたが、廻りから「仏様が成仏できないから」と諭され、一年後のお彼岸に納骨をしました。
その頃の私は、真夏でさえ黒の半袖、黒のスラックス、黒の靴と全身黒づくめで、うつのような状態でした。
同じ頃、インターネットで井本先生の「病気はイヤなものでも、悪いものでもありません。病気と共存出来る」という言葉に出合いました。
著書を読み考え方に共鳴し、夫亡き今、私が寝込んでしまったら子供達に迷惑がかかる。私は元気に暮らすのが一番だと思い始め、元気な体を取り戻すために井本整体に通いたいと考えました。
そして、自分が元気でいなければ子供たちも幸せに出来ないと思い、13年間働いた仕事も9月で辞めて、井本整体に入門させて戴きました。
08年は春に納骨し、9月は仕事を辞めて、10月は入門させて戴き、思い出多い年になりました。
10月から道場生としての生活が始まりました。1時間半の片道だけで疲れてしまい、道場の門をくぐると、やれやれやっと着いたと思ったものでした。事務所の方々が、いつもいつも笑顔で迎えてくださいました事がどんなにうれしかった事か。 初めて聞く講義は体をこわばらせて聞き、慣れない操法など、初めての事ばかりで緊張の連続でした。
授業が終わると帰りの電車は立って帰る事ができず、必ず座れる電車を待ち、座って帰っても次の日は疲れて起き上がる事もできない日々でした。 そんなしんどい事がなぜ続けられたのか不思議な思いがしますが、道場の玄関を開けると笑顔が待っている、届けずに休むことで心配をお掛けするのは申し訳ないとの思いで、体を引きずる様にして通いました。
初等クラスでは半年間お腹の操法の十二調律点を習います。毎回毎回、先輩の道場生の方々と組んでお腹の操法を学びます。入門したばかりの私は、教えられた通りに1番2番と数えるだけで必死です。「ほら、ここに穴があるでしょう」と云われても、私は戸惑うばかりです。
十二調律点のひとつにでも触れる事ができればほめて下さいます。先輩の方々は、ストレスで硬い固まりがゴロゴロしている私のお腹に手を当てて気を送って下さいました。
体操を覚えるのも、先輩の指導に導かれて少しずつ覚えて行き、自分の体でやってみて、判らない所をまた先輩に聞きながらくり返しくり返し体で覚えて行きました。
ある時先輩に「先輩の皆様が、入門した生徒全員に、同じ様に根気よくていねいに教えて下さるのは何故ですか」と尋ねると「それが井本整体の伝統だから」「僕達も先輩から教わって来て今があります」と答えられました。
初等クラスも終わる頃には、指導してくださる先生方の慈愛と、先輩方の送って下さった「気の力」で、私はいつの間にか薄皮をはぐ様に元気になっておりました。 その頃の事を思い出すと感謝の気持ちで今でも涙があふれます。 6ヶ月の初等クラスが終わり、中等クラスが始まる4月に4人目の孫が生まれました。
生まれる前のお彼岸に、夫へ孫が生まれますと報告がてらに墓参りに行き、ふっと思いました。 生まれてくる孫はおじいちゃんの顔を見る事もなく、愛される事も遊んでもらう事も出来ない。夫が孫のためにしたかった事を私が元気でいれば出来る。この孫のために元気になろうと心から思えたのは、心も体も元気を取り戻したからだと思います。 その時から私のふさぎの虫がどこかに吹っ飛んで行き、私の新しい人生の旅立ちが始まりました。
井本整体では中等クラスになりますと、初等クラスにも出席することが出来ますので、再びお腹の勉強に取り組みました。
初等クラスでお腹の操法である側腹を習った次の日に次男のところに遊びに行くと、8才の孫が左の脇腹が痛いと体を曲げております。私は思わず「寝てごらん」と仰向けに寝かせました。
孫を治してやりたいという強い信念でお腹に手を当て、十二調律、側腹と習った事をゆっくりと手当てして行き、次の日も、お腹・こうもり体操・股関節体操をしました。 3日続けましたら孫の左足の足先が内側に少し曲がっていたのがまっすぐに伸びています。それを見た嫁が「びっくり、どうして?なんで治ったの?」。そう聞かれた私は思わず「判りません」。 上のクラスで学ぶようになると、何故痛くなったのか原因を見きわめて操法が出来るようになると思いますが、今はただ孫を治したい、痛みを取りたいと強い思いで手当てをしました。 その後孫は脇腹が痛いということはありません。そのことがあってから嫁は肩がこっているから私にもやって下さい。息子は息子で、俺にもと云います。 私は自分が元気になりたいという一心で道場に通い勉強を始め「気の力」で体も心も癒されて、お陰様で元気になりました。
私は「いたいの、いたいの、とんでいけー」と願う母の手のような優しい手になりたい。なりたい自分になれるように、道場に通い、井本先生を仰ぎ見て、沢山の先生からの教えに心を傾け、先輩の方々に導かれて勉強を続けて行きたいと願っております。そして又、少しでも初等の方々の手助けが出来る道場生になる様に努力して行きたいと思っております。 この秋には一般の方々の参加できる「東京セミナー」があります。2日連続で東京道場にて開催されます。 まず御自分が元気になろうと思われている方は1日だけでも参加され、井本整体とは何かを知り、御自分の体で感じ、操法や体操を受けて変化を感じ取ってみたら如何でしょうか。 御自分の体に応じた体操をひとつでも覚えてお帰りになられたら、体が楽になります。 |
