30期生 矢代さやか
私が2年前、井本整体の道場生となったきっかけは夫の存在です。 夫は小さい頃から、いわゆるアトピー性皮膚炎の症状があり、良くなったり悪くなったりという状態を繰り返し、悪い時にはステロイドを使うという生活を続けてきました。しかし3年前の2月、「ステロイドをやめ、アトピーと正面から向き合ってみる」という宣言をし、体の改革を始めました。 当初、様々なアトピー関係の本を読み、「食事を変える」「ステロイドの入っていない塗り薬に変える」「ビタミン剤を飲む」「石けんやシャンプーを変える」「風呂に入らない」といった試みをしました。そんな中、幸運にも縁あって井本整体認定指導者の島村健作先生の操法室に通い始めました。藁をもつかむ思いで始めた様々な試みの中で(今考えると首をかしげたくなるものが多いですが)、本当に効いているという実感があったのは整体だけでした。 ステロイドを使っていた頃、夫はアトピーのことを周りの人から隠そうとしていたそうです。「アトピーは恥ずかしいもの、だからステロイドの薬で見苦しくないようにしたい」という意識があったといいます。 でも井本整体に出会って「症状が出ているのは、体が何かを外へ出したいから出しているのだ」と知り、180度視点が変わりました。 ステロイドの使用をやめた直後はリバウンドと呼ばれる現象で、顔がぱんぱんに腫れたり、耐えきれない程の痒みの発作が一日に何回も起こるなど、大変な状態になり、半年ほどの休職を余儀なくされました。 痒い、傷が痛いなどいろいろありますが、夫の場合一番つらかったのは「夜眠れない」ことだったようです。 眠れないと体が休まらずますます疲れがたまり、すると疲れすぎて眠れないという悪循環に陥ります。そうなると以前はどうやってうまく寝付けていたのか、眠り方を忘れてしまうようでした。夜まんじりともできず、「寝なきゃ、寝なきゃ」という焦りが生まれ、それが明け方5時頃まで続いてやっと眠りにつけるのです。 私が朝起きてみると、夫が部屋の端っこで体育座りをしていたり、ふらふらしてしゃべることもできない日もありました。前向きな気持ちになれず、いつ暗いトンネルを抜けられるか分からない日々だったようです。 その頃私は仕事から帰ると、家に入る前に一度呼吸を整えていました。ドアを開けて、夫が笑顔を見せてくれればほっとし、部屋の空気がどよ~んと暗ければ、気合いを入れ直しました。そうしないと、こちらまで暗い気持ちになってしまうからです。 今から考えると眠れなかった理由は、体が緩んでいなかったということだと思います。眠る時に、頭も体も緩んで呼吸が深くお腹の下の方まで入っていると深く眠れます。頭や体が緊張したままの状態だと、うまく寝付けなかったり、眠れても眠りが浅く体が休まらないので、朝起きた時から疲れていたりします。 夫の場合は特に呼吸器と腰が日常的にとても硬く、常に肩で息をしているような状態で、お腹への深い呼吸など夢のまた夢でした。 しかし島村先生の操法と、指導してくださった体操を続けたこと、毎日痒いところへ蒸しタオルを続けたこと、夏に沢山汗をかけたことなどのおかげで、体が緩んでだんだんぐっすり眠れるようになり、休職して約半年後の9月頃には会社に復帰することができました。この頃になると、夫も私も以前より明るく楽しい気持ちでいられることが多くなっていました。 深い眠りは心身を充実させる、とても大切なものだということが良く分かります。 3年経った今、夫は皮膚の状態だけでなく体全体が変わったなあと日々実感しています。ひとつ例を挙げると、以前夫は洗い物をする際に手を滑らせ、お皿を割ることがよくありました。私は単に注意力がないせいだと思っていたので、「またか!」とイライラしていました。ところが最近、夫は全くお皿を割らなくなりました。これは私の推理ですが、以前は腰も手首も硬かったのでしっかりお皿を握ることができなかったのが、操法や体操のおかげで体が緩み、楽に手が使えるようになったのではないかと思っています。 今も夫は100パーセント元気溌剌!というわけではありません。ストレスが多いと、ぐったりと肩で息をしながら、暗い顔で仕事から帰ってくることもしばしばです。でもぐったりして帰ってきても、ご飯やお風呂の後、しばらくぼーっとしたりおしゃべりをして頭を休め、蒸しタオルや体操をして体を緩めるとぐっすり眠れるようになりました。 時には何をしても眠れない日もありますが、そういう時は本を読んだり音楽を聴いたりして自然に眠くなるのを待っています。 「頭と体は、社長と我々社員の関係に似ていると思う」と夫は言います。頭(社長)が思っている通りに体(社員)は動かない。会社の内情が露呈しそうな発言(!)ですが、体の言うことに頭がしっかりと耳を傾ける方がいろいろうまくいくみたいです。 周りの人に「なんで整体習い始めたの?」と聞かれれば、夫の「アトピー性皮膚炎が良くなったから」と答えていますが、それでは説明不足かもしれません。もう少し丁寧に言うと「体が変わったから。そうしたら気持ちも変わって前より楽しく生きられるようになったから」となります。 もし東京セミナーが、誰かの人生がさらに楽しくなるきっかけとなったら、こんなに嬉しいことはありません。 |